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南面重視型の間取り

2011.10.14

開放的な間取りは、一見するとその使い方ものびのびと自由奔放のように見えてくるが、そこにはきちんとした間取りを構成する原理があった。すなわち、中・下級武士の住まいにおける家族の生活の場と接客の場の取り合いを見ていくと、中・下級武士の住まいの接客の場である座敷は、古くは屋敷の入り口が東西南北のどの方位であっても表側となる屋敷の入り口側である道路側に面して配置されていたのに対して、江戸時代後期になると座敷を南側に配置した南面重視型の間取りを持つ住まいが増える傾向が見られるという(浅野仲子『江戸時代後期の中・下級武士住宅における構成原理の変容過程に関する研究』私家版)。浅野の指摘によれば、江戸時代後期以降、中・下級武士の住まいの間取りでは、その住まいがどのような形状であっても、接客の場は必ず南側に配されるという原理が具現していたのである。そして、こうした南面を重視した間取りの伝統が、明治以降の近代化の中でもひとつの原理として脈々と息づいていたのである。

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